忘れられた仏教遺跡の魅力とは
ヒンドゥー教徒が約8割を占めるインドでは珍しい、仏教にまつわる世界遺産「アジャンタ石窟寺院」。
細かい仏教建築はもちろん、洞窟内に残された鮮やかなレリーフなどがその魅力です。
今回はそんなアジャンタ石窟寺院を観光する際の見どころと、注意点について紹介していきます。
アジャンタ石窟寺院とは?
アジャンタ石窟寺院とは、インドのアウランガーバードからアクセスが可能な古代の仏教石窟寺院群の世界遺産です。
僧侶が修行する部屋、仏塔が置かれたお祈りをする部屋など、大小26の寺院が断崖に作られています。
1819年に狩猟をしていたイギリス人がたまたま迷い込むまで誰にも発見されなかったため、保存状態が良好に維持されているのが特徴のひとつ。
10番目の遺跡内では、このイギリス人が残した落書きも見ることができます。
アジャンタ遺跡への行き方
アジャンタ遺跡へ行くには、アウランガーバードでタクシーやリキシャーをチャーターするのがもっとも簡単な方法ですが、セントラル・バス・スタンドから自力で行くことも可能です。
アウランガーバードからアジャンタ遺跡へ出ているバスは2種類。
- ローカルバス…片道およそ120ルピー、エアコンなし、乗り換えの必要あり
- 観光バス…片道およそ300ルピー、エアコンあり、乗り換えの必要なし
ローカルバスの方が少し安いですが、片道3時間ほどエアコンなしはかなりきついですし、乗り換えもなかなかめんどくさいので、個人的には観光バスでむかうことをおすすめします。
観光バスはこの青い車体が目印。
車内はこんな感じ。
ちょっとリクライニングもできますし、普通に綺麗です。
ローカルバスはこの赤い車体の方です。
帰りのバス待ち中、雨宿りをさせてもらった時に座らせてもらいましたが、プラスチックの椅子で座り心地最悪でした。
3時間も乗ってたら絶対ケツ痛くなる…。
一方観光バスのデメリットとしては、行き8時30分発、帰り14時30分発の1日1往復しか動いていないということですね。
片道2時間半〜3時間かかるので、観光時間が2時間くらいしかありません。
アジャンタ遺跡はけっこう広いので全てじっくり見て回ろうと思ったら2時間では足りないと思います。
アジャンタ石窟寺院の見どころ
- カッコいい外観
- 保存状態のいいペイント
- いろんな種類の仏像
- 細かい掘削技術
- 神秘的な礼拝堂
かっこいい外観
崖を削って作られたアジャンタ石窟寺院は、世界的に見ても独特な外観をしています。
こんな景色はまず他では見れないので、普通に外を歩いているだけでも楽しいです。
人がこれほど少ないとタイムスリップしたような気持ちにもなれるので、あえてオフシーズンにくるのもおすすめです。
保存状態のいいペイント
アジャンタ遺跡は7世紀以降、19世紀になって発見されるまで、ずっとジャングルの中で放置されていたので、壁画の保存状態がいいものが多いです。
このように色がはっきりと残っている部分も多くあります。
中にはイランやアフガニスタンから運び込まれたラピスラズリを利用した絵の具も使われており、その独特な色合いを楽しむことができます。
いろんな種類の仏像
遺跡の窟内には大小様々な仏像が安置されています。
それぞれ手の形や顔の表情が違うのも見どころです。
おそらく一つの場所でこんなに仏像を見比べることは、後にも先にもアジャンタ遺跡に来たときしかないでしょう。
細かい掘削技術
クレーンもない時代に、こんな場所でどうやってこんな細かな掘削作業ができるのでしょうか。
柱も壁のレリーフも一つ一つが本当に細かいです。
こちらは24番の窟。
掘削が途中でストップしたまま残されています。
完成されていればアジャンタ遺跡内で2番目に大きな窟だったらしい。
ちょっとデコボコしていて危ないですが、中に入ると建設の工程が見られたりして面白いです。
神秘的な仏堂
ストゥーパという仏塔が置かれているホールのような場所。
こちらは10番の窟で、紀元前1世紀に作られたと推測されています。
こちらは26番の窟。
アジャンタ後期に作られたといわれており、10番のものよりも豪華に装飾がほどこされています。
柱の後ろにはこのように仏像が何体も掘られています。
アジャンタの有名な仏陀涅槃像(寝ている仏像)もありました。
おまけ
アジャンタ遺跡で清掃している”風な”おっさんたち。
なにかのキャンペーンで清掃の様子を撮っているようでしたが、これ、実はポーズを取っているだけで、写真撮影の前後には全く掃除なんかしてませんでした。
これでちゃんと遺跡を掃除していることにしちゃおうぜ!的なことなんでしょうか。
それを堂々と営業時間中にやってのけるなんて。
こういうの、とてもインドっぽくて面白いです。笑
アジャンタ遺跡観光時の注意点・ポイント
- ポーターの客引きに注意
- トイレや食事ができるのは入り口のみ
- モンスーンシーズンは人少なめ
ポーターの客引きに注意
まず入り口で注意したいのが、ポーター(荷物運び屋さん)の客引きです。
「遺跡まできつい階段がある」
とか、
「靴を守ってあげる」
とか(アジャンタ遺跡では、靴を脱いで入る部屋が多くあります)、
「観光客はみんな僕らに頼んでるよ」
とか、とにかくあらゆる言葉で声をかけてきます。
厄介なのが、公式っぽいゼッケンを着てたり、首からカードをぶら下げたりしてるので、強めに来られると「本当に全員ポーターを頼まなきゃいけないかも…」と錯覚を起こしそうになること。
実際は全く必要ないので、無視して大丈夫です。
帰り道には、しつこいお土産の客引きもいっぱいいたので、いらない場合は曖昧な返事をせずに断固拒否をしましょう。
トイレや食事ができるのは入り口のみ
アジャンタ遺跡内は、本当に遺跡しかありません。
トイレもレストランも屋台もないので、必要な方は入り口で済ませましょう。
このチキンマサラは230ルピーでした。
観光地の割には安いほうだと思います。
ちなみにレストランにWi-Fiはありません。
モンスーンシーズンは人少なめ
アジャンタ遺跡は、6〜9月のモンスーン期(雨季)にあたるオフシーズンには人が少ないようです。
まあ崖に作られた遺跡なので、道中は屋根になる部分が少ないですし、土砂もおきやすので、雨季は観光に向いてないのはなんとなく分かります。
途中でこんな怖すぎる看板も見つけました。
「モンスーン期間中は岩が落ちてくるので、崖側を歩いてください。」
人が少ないときにゆっくりと見てまわりたいという人には、モンスーンシーズンの観光はむしろおすすめです。
仏教建築の流れを感じられる場所
そもそもの立地から始まり、壁画や細部の彫刻にいたるまで、「インド人すげー」の連発でした。
アジャンタ遺跡は、およそ700〜800年をかけて段階的に作られているので、時代ごとの建築の特徴などが見られて非常に興味深いです。
この後につくられたとされるエローラ石窟群と一緒にまわると、さらに面白い観光になると思います。
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