今回ロンドンを訪れた一番の目的、それは大英博物館でロゼッタ・ストーンを見ること。
教科書で初めて見た時からずっとロマンを抱いていたこの石と、ついにご対面できる日がやってきました…。
帝国時代の栄華がただよう大英博物館の見どころ
大英博物館は、イギリスが世界中から略奪してきた美術品や資料が多く並ぶことから、別名「泥棒博物館」とも言われており、博物館を見てまわるだけでかつての大英帝国の興隆を肌で感じることができます。
今回はそんな、歴史好きなら誰もが一度は訪れたい場所である大英博物館の見どころについて、たっぷりとご紹介していきます。
大英博物館の最寄駅はどこ?
大英博物館へは地下鉄トッテナム・コート・ロード駅(セントラル線・ノーザン線)から徒歩5分でアクセスできます。
トッテナム・コート・ロード以外にも、
- ホルボーン駅(セントラル線・ピカデリー線)から徒歩7分
- ラッセル・スクエア駅(ピカデリー線)から徒歩7分
- グージ・ストリート駅(ノーザン線)から徒歩8分
と、最寄駅がたくさんあるので、ロンドン市内のどこからでも簡単にアクセスできると思います。
ちなみに僕はトッテナム・コート・ロード駅から向かいましたが、道もすごくわかりやすいので、迷うことなく辿り着けました。
大英博物館への具体的な行き方は、Googleマップ等で確認しておくと確実です。
大英博物館の入場料・開館時間について
営業時間 | 10:00〜17:30(金曜日のみ10:00〜20:30) |
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定休日 | 12/24〜26、1/1 |
入場料 | 無料 |
その他設備 | 日本語オーディオガイド(7ポンド)、無料Wi-Fi、荷物預け用ロッカー、カフェ・レストランなど |
大英博物館に入場する際は、かばんの中まで見られるセキュリティチェックがありますが、スーツケース等の大きな荷物はそもそも持ち込みが禁止されているのでご注意ください。
館内には一応クロークルームがありますが、大きな荷物を預けることはできません。
ホテルのチェックアウト時間などの都合で、どうしても大きな荷物を持っていく必要のある場合は、近くの駅等にあるロッカーを利用しましょう。
ちなみに大英博物館内で荷物を預ける際にかかる料金は以下の通りです。
- コート類:2ポンド
- 4kg以下のバッグ:2.5ポンド
- 4〜8kgのバッグ:5ポンド
- 傘:1ポンド
- 折りたたみ式ベビーカー:無料
また、大英博物館ではオーディオガイドを借りることを強くおすすめします。
日本語対応もされているので、英語の説明書きを読むのが苦手という人でも、気楽に展示物に対する理解を深めることができます。
オーディオガイドの料金と利用できる時間は以下の通り。
- 料金:大人7ポンド、割引対象者6ポンド
- 時間:10:00〜16:30(金曜のみ10:00〜19:30)
オーディオガイドのサンプルを載せておくので、参考にしてみてください。
大英博物館のおすすめ展示物一覧
大英博物館には約15万点もの展示物が常設されており、とても全てを紹介することはできないので、印象に残ったものをいくつかご紹介していきます。
ロゼッタ・ストーン
まず真っ先におすすめしたいのはやはりこれ。
ド定番のロゼッタ・ストーン。
ロゼッタ・ストーンは、古代エジプトで使われていた神聖文字(ヒエログリフ)を解読するきっかけとなった石で、一番上の段に神聖文字、真ん中の段に民衆文字(デモティック)、一番下の段にギリシア文字と、三段に分かれてそれぞれ別の言葉で同じ意味の文章が刻まれています。
大英博物館に来る多くの人の目的の一つがこのロゼッタ・ストーンなので、さすがに常に人で賑わっており、写真を撮るのも一苦労でした…。
じっくり眺めていたい気持ちは山々でしたが、人混みに留まっていることが辛すぎるので、サクッと写真をとって退散。
一目見れただけでも大満足です。
ラムセス二世像
続いては、こちらのラムセス二世の巨像。
めっちゃでかくて、ホール内でとにかく目立ってました。
ラムセス二世は、24歳から90歳までエジプト新王国を統治した、エジプト史上最強とも言われるファラオです。
もともとは下半身もあり、目は黒、肌は赤、頭の被り物は青と黄色に装飾されていたらしい。
20トンの一枚岩を削って作られたこの巨像は、他のファラオのものと比べてもとても大きな像らしく、移動させるのにも困難を極めたのだとか。
ちなみに右胸の穴は、かつてフランスのナポレオン軍が持ち帰ろうとしたものの、失敗に終わったときにできた穴のようです。
モアイ像
1868年に英国海軍がイースター島から持ち帰ったとされるモアイ像。
なんか、想像してたよりも小さい。
モアイ像は祖先の魂を宿していると考えられており、かつては現地ポリネシア人の信仰の対象になっていました。
ちなみにこのモアイ像は現在、イースター島で「ホアハカナナイア(失われた友)」と呼ばれており、大英博物館に対して返還要求がされているようです。
アッシリア王のライオン狩りのレリーフ
アッシリアとは、現在のイランの北部にかつて存在した王国で、最盛期には現在のエジプトからイランにわたる地域を支配していた大帝国のこと。
この大きなレリーフは、紀元前7世紀ごろに描かれたもので、動物の王を倒すことで、王様の武力を示したり、人間世界にとどまらないこの世の王であることを示したらしい。
ライオンの躍動感が凄まじく、迫力満点のレリーフです。
リュキア人の遺産
リュキア人とはかつてトルコ南部に存在した海洋民族のこと。
こちらのネレイデス・モニュメントは、そんな古代リュキアの都市クサントスを統治していた君主をまつった墓廟です。
ギリシャの神殿がモチーフになっているらしい。
そしてこちらはリュキアの石棺。
これも古代のお墓ですね。
もともとこの石棺が置かれていた場所(トルコの世界遺産クサントス・レトーン)には現在、レプリカが置いてあるそうです。
本来あった場所に偽物がおいてあるってなんか変な感じですね。
マウソロス霊廟の彫刻
マウソロス霊廟とは、古代ギリシャの都市ハリカルナッソスに建てられたお墓のことで、その美しさから世界の七不思議の一つにも数えられています。
霊廟に祀られていたとされるマウソロスとその奥さんの像。
この彫刻、細かい上にすごく自然な佇まいが表現されていて、今にも動き出しそうな雰囲気でした。
対面するとその威圧感に圧倒されます。
同じくマウソロス霊廟に飾られていたとされる馬の像の頭部。
これもとにかくデカくてすごい迫力です。
パルテノン神殿の彫刻(エルギン・マーブル)
続いて、かつてアテネのパルテノン神殿にかざってあった彫刻のコーナーへ。
全貌が残っている彫刻は少ないですが、どれもこれも本当に繊細かつ均整のとれた作りになっていて、さすがはギリシャって感じです。
この布感がすごすぎて、本当に石でできてるか触って確認したくなります。(絶対ダメです。)
ちなみにここに飾られている彫刻たちは、19世紀にエルギンというイギリスの外交官が、当時オスマン・トルコの支配下にあったギリシャから持ち帰ったもので、この外交官の名前を取り、全ての彫刻を総称して「エルギン・マーブル」とも呼ばれています。(マーブルとは大理石でできた彫刻のこと)
例に違わず、このエルギン・マーブルについてもギリシャから返還要求が出されていますが、「イギリスに運ばれていなかったら、こんな綺麗な姿で保存されることはなかった」ということで、大英博物館側はずっと拒否しているようです。
確かに他のパルテノン神殿の彫刻たちは、現在アテネのアクロポリス博物館で展示されていますが、それはそれは無残なお姿らしい…。
まあどんな経緯があったにせよ、ここに展示されている彫刻の素晴らしさに変わりはないですね。
古代エジプトのミイラ
大英博物館に展示されているミイラは、現存するミイラの中でもかなり古いものが多いらしく、館内でも人気のギャラリーの一つです。
想像してたよりも損傷が少なく、その保存技術にひたすら関心してました。
しかし死後の世界を信じてミイラになられた方々も、まさかこうして世界中の人の目に晒されることになるなんて思ってもみなかったでしょうに。
豪華な装飾がされているミイラの棺桶。
このような棺桶は基本的に権力者かお金持ち用のもので、多くは単なる木箱に入れられていたり、布で巻かれたまま埋められていたりと、埋葬の形も様々だったようです。
日本ギャラリー
大英博物館には日本に特化したギャラリーもあり、土偶や仏像、刀など、古代から現代に至るまで日本特有の様々な展示物が並べられています。
こちらは、「三人寄れば文殊の知恵」で有名な文殊菩薩。
文殊菩薩は、物事を正しく判断する力である「智慧」の象徴です。
こちらは六道絵といって、仏教において輪廻転生を繰り返すとされる六道の世界を表した絵。
すごく不気味ですが、それぞれの世界の表現の仕方が面白い。
日本ギャラリー内で一番目立っていたのはこの兜と甲冑ですね。
とてつもないオーラを解き放っており、常に人に囲まれていて、世界のサムライ人気をひしひしと感じました。
アフリカギャラリー
続いては、アフリカに特化したギャラリー。
アフリカのデザインって本当に独特で、何かとオカルトチックなものが多いですね。
ちょっと不気味な雰囲気がただよっていて、この空間に1人でいると怖いです。
夢に出てきそうなお面。
儀式に使ってた盾。
これは椅子…なのか?
めっちゃケツ痛そう。
えっと、これは…
アフリカのギャラリーには「その発想、どういうこと?」って思うものが本当にたくさんあります。
こちらは『ツリー・オブ・ライフ』という、モザンビークのアーティストによる作品。
実はこれ全部、銃などの武器からできています。
モザンビークでは、1976年から1992年にかけてに起きた内戦によって国内に流通してしまった銃を減らすために、ミシンや自転車、トラクターなどの生活用品と武器を交換することで、武装解除を促すというプロジェクトがあったようです。
そして集まった武器はアーティストの力によってこのような作品になったのだとか。
ウルの王墓からの出土品
ウルとは、紀元前2600年ごろに存在したメソポタミア地方の古代都市のことです。
このギャラリーで一番目を引くのがこの「ウルのスタンダード」。
片面では平和が、もう片面では戦争が表現されているようですが、用途はいまだに解明されていないそうです。
こちらは世界最古のすごろくボードゲームとも言われている「ウル王朝のゲーム盤」。
サイコロを振って7つの駒を競争させる2人対戦のゲームらしいです。
4000年以上も昔のゲームってだけで、なんだかワクワクしてきますね。
このゲーム盤のレプリカはAmazonでも売られているので、気になる方はチェックしてみてください。
ルイス島のチェス駒
こちらはスコットランドで見つかった、12世紀に作られたとされるチェス駒のセット。
セイウチの牙を削って作られており、コミカルでちょっと滑稽な表情をしているのが特徴です。
なんか見覚えあるなーと思ったら、映画『ハリーポッターと賢者の石』で登場したあのチェスが、これと同じモデルのものだったらしい。
世界のお金ギャラリー
紀元前〜現代にいたるまでの世界のお金の歴史がわかる面白いギャラリーもありました。
この硬貨は、紀元前150〜20年の間ガンダーラ(現在のパキスタン)で使われていたもので、これによって当時ガンダーラに君臨していた歴代22の王と2の女王の名前が判明したとのこと。
お金というのは時に、その国の歴史を語る重要な証言者になりますね。
こういうの本当に面白い。
こちらは19〜20世紀の間にイギリスの植民地で流通していた紙幣。
上がモーリシャス、下がバルバドスで使われていたものです。
イギリスの植民地って、商業銀行が紙幣を発行することが許可されてたんですね。
知らなかった。
上にある4つのお札は、ノートゲルトと呼ばれるドイツの非公式の紙幣。
第一次世界大戦後に硬貨の流通が不足したことで、いろんな機関が独自に発行していたものらしい。
そして下にある青いお札は、ハンガリーの1垓(兆の次の単位)ペンゲー札。
第二次世界大戦後に発生したギネス級のハイパーインフレによって誕生した紙幣で、この1垓ペンゲーでも、0.2USドルぐらいの価値しかなかったそうです。
大英博物館を観光する際のポイント
大英博物館は本当に展示品が多く、目の前に現れるものを一つ一つじっくり見ていたら、全体の10%も進めずに日が暮れてしまいます。
なので大英博物館に行く際はまず、事前に見たいものリストを作っておきましょう。
そしてその展示物たちをどの順番で回ったらいいかを館内マップで確認し、ざっくり1エリアあたりの滞在時間をイメージしておくといいです。
それでもやっぱり実際に行くと、思わぬところで惹かれるものがあったりして時間配分がめちゃくちゃになったりしますが、それはもうしょうがない。
とにかく広いので、無駄な移動時間を作らないことだけでも徹することをおすすめします。
また、大英博物館では予想外の時間が発生する可能性も考慮しておくといいです。
たとえば僕の場合は、入場する際に外で並ばされたり、館内の混雑でどうしても移動に時間がかかる、といったことがありました。
大英博物館は「とにかく時間に余裕を持って訪れる」これが鉄則です。
消化不良で終わった大英博物館観光
今回、約3時間使って大英博物館をまわってきましたが、率直に思ったのは、
「全っ然時間足りない!」です。
一応事前に見たかったものは全部見れましたが、なにせ興味深いものが次から次へと現れるので、3時間ごときじゃ全部処理しきれないですね。
こんな博物館にいつでも気軽に行けるロンドン市民が本当にうらやましい…。
ということで、歴史好きでもそうでない方も、間違いなく楽しめる大英博物館。
入場無料なので、ロンドン観光の際は絶対にお見逃しのないように!
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