インドの秘境、ハンピを徹底解説
南インドへ旅行にきたら避けてとおれない街「ハンピ」。
“ロックシティ”とも呼ばれるその独特な景観や遺跡群は、秘境を求めてやってくる世界中のバックパッカーを虜にしています。
今回はそんな知る人ぞ知る観光地、ハンピの魅力にせまります。
ハンピってどんな場所?
ハンピは、無数の岩が重なりあった山々が印象的な街です。
14世紀〜17世紀に存在したヴィジャヤナガル王国の首都でもあり、かつての都市機能が垣間みえる遺跡群は、現在世界遺産に登録されています。
ハンピは宗教的な聖地とされており、
- 肉や酒はほとんど手に入らない
- ポイ捨てするのが心苦しい
- 立ちションもそこらへんではできない
という、他のインドの主要都市とはちょっと変わった特徴を持っています。
村には常に平和な空気が流れており、まさに桃源郷と呼ぶにふさわしい場所。
アジア人などにはまだあまり知られていないのか、旅行客はヒッピーな欧米人が多いのも特徴のひとつです。
ハンピへの行き方
交通手段 | ルート |
---|---|
飛行機 | ハイデラバード、バンガロール → ジンダル・ビジェイナガー空港 → ハンピ |
バス | ゴア、ムンバイ、バンガロール等周辺都市 → ホスペットバスターミナル → ハンピ |
列車 | 各都市 → ホスペット駅 → ハンピ |
今のところハンピに直接到着する交通手段はないため、いずれの方法を利用しても、最後はバスやリキシャーなどローカルな乗り物を使う必要があります。
ちなみに僕は今回、バンガロールからハンピに行くためにホスペットまで列車でいき、ホスペット駅からリキシャを使うルートを選びました。(ホスペット駅〜ハンピまでは150ルピーでした。多分もう少し値切れるかも。)
ハンピからホスペットまでの帰りの時間に注意
たとえば帰りに寝台列車を利用する際は、夜中の3時にハンピ村を出発することなんかもありますが(僕がそうでした)、深夜になるとハンピ村からホスペット駅まではリキシャしか交通手段がないため、事前に夜中に連れていってくれるよう手配しなければいけません。
仮にうまく手配ができたとしても料金は跳ね上がりますし、明かりもひと気もまったくない道で運転手と二人きりになるのはちょっと怖いので、寝台列車の出発時間には十分に注意しましょう。
ハンピでぜひ見てほしい遺跡&おすすめ観光スポット
- ヴィジャヤ・ヴィッタラ寺院
- ザナーナ・エンクロージャー(Zanana Enclosure)
- マハーナヴァミ・ディッバ
- 王妃の水浴場(Queen’s Bath)
- 水道橋
- モンキー・テンプル
- マタンガ・ヒル
- ヴィルーパークシャ寺院
ここからはハンピのおすすめ観光スポットについて、それぞれ詳しく解説していきます。
ヴィジャヤ・ヴィッタラ寺院
中心のハンピ村から徒歩30分くらいの場所に位置する「ヴィジャヤ・ヴィッタラ寺院」。
少し距離がありますが、リキシャーやバイクは通れない岩道を進んでいくので、歩きしか選択肢がありません。
ヴィジャヤ・ヴィッタラ寺院は、16世紀の王様が戦勝記念に建てた寺院だそうで、繊細すぎる彫刻が見どころです。
寺院に入ってまず目に飛び込んでくるのは、当時儀式に使われていたとされる戦車を模して作られた石像。
今にも動き出しそうなくらい細かな作りをしています。
ヴィジャヤ・ヴィッタラ寺院の一番の注目ポイントは、戦車像のすぐそばにある本堂です。
この本堂に使われている柱は「ミュージック・ストーン」と呼ばれており、叩くと一本一本異なった音で共鳴します。
時期によって立ち入りが禁止されてたりするらしいので、運よく入れた方はその珍しい音色を聞き逃さないようにしましょう。
彫刻は種類がたくさんありすぎるので、説明を聞きながらすべてを見て回ろうと思ったら、時間がいくらあっても足りません。
入場料は500ルピー(約800円)で、この後紹介する「ザナーナ・エンクロージャー」と共通のチケットになっています。
ちなみに寺院の入り口周辺で、ガイドを申し出てくる人がいっぱいいますが、基本的に無視した方がいいです。
みんな英語の発音や言い回しが独特すぎてちょっと何言ってるかわからなかったので…笑
ヴィジャヤ・ヴィッタラ寺院の場所
ザナーナ・エンクロージャー(Zanana Enclosure)
ザナーナ・エンクロージャーとは、ヴィジャヤナガル王国の首都として栄えていたころの王宮の跡地のこと。
ヴィジャヤ・ヴィッタラ寺院のチケットで入場できます。
こちらはロータス・マハルという、王族が暑い夏の時期に涼しむために利用していた離れ。
ヒンドゥー様式とイスラム様式が合わさって作られた建物だそうです。
一見、王宮の本殿にも見えるこの立派な建物は、戦争で使用する戦う像「戦象」を飼っていた戦象舎と呼ばれるもの。
たかが像小屋ごときで豪華すぎです。
こういったところからも、当時の王家の繁栄具合をうかがい知れますね。
ザナーナ・エンクロージャーの場所
マハーナヴァミ・ディッバ
儀式や見世物に使われていたとされるマハーナヴァミ・ディッバ。
ピラミッドのようなつくりをしていて、上までのぼることができます。
登ってみましたが、上には特になにもありませんでした。
マハーナヴァミ・ディッバからの景色。
ここから周辺の広大な遺跡跡を見渡すことができます。
マハーナヴァミ・ディッバの場所
王妃の水浴場(Queen’s Bath)
15世紀に作られたもので、王様がお嫁さんをいっぱい泳がせて、ここで夜の相手を選んでいたというなかなかハレンチなプールです。
ヘリに腰掛けている人がいますが、浴場の下に降りることもできます。
王妃の水浴場の場所
水道橋
村からみて、川の向こう側の観光スポットに出かけるときに必ず目にとまるであろう水道橋の遺跡。
こういったインフラもしっかりと整備されていたヴィジャヤナガル王国は、都市としての成熟度もなかなかのものだったようです。
水道橋の場所
モンキー・テンプル
その名の通り、お猿さんがいっぱいいる山。
インド神話の猿の王様、ハヌマーンの出生地とも言われています。
こんな景色を眺めながら、500段以上ある階段をひたすら登っていきます。
階段途中にも猿がいっぱいいるので、食べ物を取られないように注意しましょう。
頂上はこんな感じで、大きな岩がたくさん積み重なっています。
柵は一部建てられていますが、ほとんどが自然の状態のまま。
静かで空気も澄んでいて、何時間でもいられる気がします。
道中はかなり体力を消耗しますが、登る価値は断然ありです。
モンキー・テンプルはサンセットもすごいらしいので、時間がある方は後述するマタンガ・ヒルのサンセットと比較してみるのもいいかもしれません。
モンキー・テンプルの場所
マタンガ・ヒル
おそらくハンピの中でもっとも有名で人気の高いスポット「マタンガ・ヒル」。
村からも歩いていける距離にあるので、多くの観光客が絶景やサンセットを目的に訪れます。
この日はあいにくの天気でしたが、それでも圧巻の景色。
頂上はこんな感じで、360度見渡すことができます。
個人的にはモンキー・テンプルよりも迫力ある景色だと思います。
マタンガ・ヒルはとにかく幻想的。
一緒に来た人たちとも会話することを忘れ、各々の世界に入り込んでいました。
てっぺんには寺院もあり、お祈りをしている人もいます。
ギリギリまで粘りましたが、けっきょく最後まで夕日を見ることはできず、あえなく下山。
日の入り時間までマタンガ・ヒルにいると下山中にどんどん暗くなっていくので、足元に細心の注意を払いながら素早くおりていかないといけません。
ただでさえ足場が悪く、柵もほとんどないので、気を抜いたらリアルに死にます。
僕みたいにクロックスで行くのは絶対に辞めましょう。(ちなみにこの写真をとった直後、みごとに滑り転げております…)

マタンガ・ヒルの場所
ヴィルーパークシャ寺院
写真の左奥にちょこんとそびえ立つのがヴィルーパークシャ寺院です。
今回は工事中で入ることはできませんでしたが、ヴィルーパークシャ寺院はハンピの中心地にあり、内部ではお祈りをするヒンドゥー教徒の姿や綺麗な天井画などを見ることができるらしいので、興味ある方はぜひ。
ヴィルーパークシャ寺院の場所
ハンピのおすすめの周り方
- 王宮地区 → リキシャー
- 川向こう → バイク
- ヴィジャヤ・ヴィッタラ寺院&マタンガ・ヒル → 徒歩
ハンピの観光地はざっくり、ザナーナ・エンクロージャーや王妃の水浴場などがある「王宮地区」と、水道橋やモンキー・テンプルがある「川向こう」とに分けられます。
王宮地区はリキシャーをチャーターしていっきにまわり、村から川を渡った先ではバイクを借りて、ツーリングしながらまわるのがおすすめです。
バイクがあれば今回紹介した場所以外にも、ジプシー村やカーリー・テンプルなどにも足を運ぶことができ、湖や田んぼなど、ハンピにある自然の景色もたっぷりと堪能することができます。
川を渡るときは一寸法師になりましょう
ハンピ村から川を渡るには、原始的なボートと普通のモーター式ボートのどちらかを利用する必要がありますが、原始的なボートの方が面白いのでおすすめです。
こちらがそのボート。
まさに一寸法師気分を味わえます。
お兄ちゃんが必死に竹の棒で漕いでくれますが、途中全然うごなくなって、岩を利用しながら手でボートを押したりしてました。笑
ちなみにお値段は片道50ルピーです。
ハンピのおすすめ滞在日数
ハンピのおすすめ滞在日数は二泊三日です。
のんびりまわるなら三泊あってもいいくらいですね。
僕は今回紹介した場所を一泊二日で周りましたが、常に慌ただしくなってしまってちょっと後悔しました。
ハンピ旅行の注意点
ハンピはなかなかの秘境なだけあって、普通の観光地とはちょっと違った心構えをしておく必要があります。
客引きのしつこさがずば抜けている
バックパックを背負って村に到着すれば「ホテール!ホテール!」
川の向こうに降り立てば「バイク!バイク!」
街中を歩けば「スーベニーア!スーベニーア!」
そのしつこさは他のインドの都市と比べても圧倒的でした。(タージマハル前の客引きを除く)
対策法は特にないので、毅然とした態度で旅行にのぞみましょう。
基本的に圏外
ハンピの通信事情はとにかく最悪で、SIMカードを入れていたとしても基本的に圏外でした。
現地のWi-Fiに繋げてたまに通信できるか、といった具合なので、調べるべきことはなるべく事前に調べておいた方がいいです。
ちなみにマタンガ・ヒルの頂上だけはなぜか4Gでバリバリに通信できました。笑
お肉が食べられる場所は少ない
前述もしましたが、ハンピ村の中では基本的にお肉が食べられないベジタリアン料理のお店ばかりです。
川を渡った先のレストランでは普通に鶏肉料理も食べられますが、どうしても村の中で食べたい場合は事前に現地の人にお肉が食べられるお店を聞いておきましょう。
ちなみに個人的なおすすめレストランは「Ganesh Chillout」です。
料理はどれも美味しいし、チキンも食べられるので、滞在中ほとんどここでご飯を食べていました。
Ganesh Chilloutの場所
常に最新情報をチェックしましょう
近年の観光客増加によって、伝統的な景観が壊れかけていることを懸念し、政府がハンピの観光業への取り締まりを行っているそうです。
2017年12月〜2018年2月ごろまでも中心の村ではレストランやゲストハウスの経営が軒並み禁止されたこともあったそう。
こういった取り締まりはいつ起こるかわからないので、訪れる予定のある人は事前に現地のインド人や旅人から最新の情報を仕入れておきましょう。
まとめ
どこもかしこも神秘的なハンピは、ついインドにいることを忘れてしまうような素敵な場所です。
僕は今回時間がなくてできませんでしたが、トレッキングやロッククライミングなんかも有名なので、まだ観光地化されきれてないうちに、ぜひハンピで自然のパワーを存分に感じてみてください。
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